ダイエットや健康のために甘いものを我慢しているのに、どうしても食欲が抑えられずに食べてしまった...という経験はありませんか?
TVやSNSなどでダイエットに成功している人を見ると、周りと比べて自分は意志が弱いのかな?と感じてしまうことがあるかもしれません。
では、食欲を抑えられる人と抑えられない人の違いとは何なのでしょうか。今回は、研究論文で報告されている「食欲を効果的に抑える2つの方法」をご紹介します。
ある代謝物が食べる量を効果的に減らす?
運動が健康に与える影響を調べたある研究によると、
① 運動後に最も顕著に誘導された代謝物は、乳酸とフェニルアラニンから合成される、修飾アミノ酸Lac-Phe(N-ラクトイル-フェニルアラニン)だった。 ② 高脂肪食を与えたマウスに多量のLac-Pheを投与したところ、このマウスの食べる量が高脂肪食を与えていないマウスと比べて、約50%抑えられた。 ③ Lac-Pheをマウスに10日間投与する実験では、マウスの食べる量は総じて減少し、(体脂肪の減少によって)体重が減少し、耐糖能が改善した。 ※ただし、Lac-Pheの食欲抑制効果は身体運動後にのみ存在し、ほとんど体を動かさない状態では観察されなかった。 |
この実験により、運動をしている間に産生されるLac-Pheは、食べる量と肥満を効果的に減らす作用があるということが証明されました。
運動は脂肪を燃焼するだけでなく、食べる量も抑えてくれるというのは嬉しい結果ですね。
これから食事制限をはじめる方や最近暴食が続いているという方は、運動を取り入れることで+αの効果が期待できそうです。
食欲を抑えられる人・抑えらえれない人の脳の違い
続いて、食欲があるときの脳の活動と、食欲を抑えるのが得意・不得意な人の脳の活動について調べた研究で、面白い結果が報告されました。
① 食欲があるときは、VMPFC(腹側内側前頭前野)という脳領域が活動する。 ② 食欲を抑えられる人も抑えられない人も、美味しいと思っているものに対しては同じようにVMPFCが活動している。ただし、食欲を抑えられる人は、健康的な食べ物にも同じようにVMPFCが強い活動を示した一方、食欲を抑えられない人は、健康的な食べ物にはVMPFCがほとんど活動を示さなかった。 |
この研究の結果、健康的な食べ物に対する意識を高められれば、食欲を抑えられるようになる、ということが考えられそうです。
では、どうすれば健康的な食べ物に対してVMPFCを活動させ、食欲を抑えることができるのでしょうか?
食欲を効果的に抑える方法とは?
実は、上記で述べた研究には続きがあり、脳のDLPFC(背外側前頭前野)という部分が活動することで、「食欲を抑えられる」ことが報告されています。
DLPFCは「理性的な処理」をつかさどる部分で、"食べたい" という欲求があるときは、DLPFCの活動が低くなっています。つまり、DLPFCを鍛えることができれば食欲を抑えられるようになるのではないかと推察されたのです。
そして現在、DLPFCを鍛える方法として研究者間で注目されているのが、瞑想です。
非科学的と思われるかもしれませんが、非常に多くの研究で、瞑想はDLPFCの活動を高める効果があることが示されています。
瞑想は座りながらだけでなく、歩きながらでも、また食事をしながらでもできるため、日常に簡単に取り入れられ、大企業の研修などでも採用されています。
〈 基本の瞑想の手順 〉
① 楽な体勢で座り、軽く瞼を閉じます。その状態を1〜2分続けます。
② 何もせずにじっと座っている感覚に慣れたら、次は触覚のみに意識を向けます。雑念も受け入れ、頭の中から消えていくのを静かに待ちましょう。
③ さらに、自身の心地よい部分、あるいは不快な部分に意識を向けてみます。どう感じるのかを客観的に捉えることで、新しい発見があるかもしれません。
④ 自分の感覚を客観的に捉えることができたら、今抱いている感情の一つ一つに向き合ってみましょう。自問自答を繰り返すことで、自分の感情を冷静に分析できるようになるはずです。
瞑想は食欲を抑えるだけでなく、集中力の向上やリラックス効果があり、スキマ時間に取り入れることができます。まだ試されたことがない方は、この機会にぜひ瞑想を取り入れてみてください。